現在、講師業と並行して公共交通機関で経理事務やスタッフのシフト調整などの仕事も行っています。教育講師の仕事とは異なる現場で働くことで多くの気付きや現場の声を知ることができ、その経験が研修に活かされています。さまざまな価値観を持つ方々と研修を作り上げるのは難しいこともありますが、大きなやりがいを感じています。心理学でいうディスカウント（価値や評価を低くしない、決めつけない）を意識し、柔軟な発想やアイデアでその場に合った研修を提供するよう努めています。「この講師に依頼してよかった」と思っていただけるよう、一つ一つの研修を大切にしています。

マナーは決まった型ではなく、相手や状況に応じて変わるため、「なぜそうするとよいのか」「どのようにすれば伝わるのか」と、その理由や伝え方を理解することが大切です。研修では、実際によくある状況を想定したロールプレイングを行い、失敗から学び、徐々に慣れていく過程を経験してもらいます。私自身の失敗談も「皆さんの代わりに私が失敗しておきました」と沢山話し、受講者が失敗を恐れずに学べる雰囲気作りを心がけています。研修を通じて、実際の仕事やコミュニケーションが上手くいくよう、トライ＆エラーでマナーを習得し、自信を持っていただけるよう努めています。

相手への敬意をしっかりと言葉や態度で表現したいと思ったことが、私がマナーを学び始めたきっかけです。銀行の窓口でお客様応対を担当していた際、敬語の誤用やお客さまへの対応に迷うことがありましたが、本を読んだり、研修を受けたり、上司や先輩から学んだりして、マナーを身に付けていきました。時には堅苦しいマナーが逆効果になることもあり、率直で親しみやすい対応を心掛けることでお客さまや周囲の方々の居心地が良くなることを実感しました。マナーは相手や状況に応じて変わるため、その理由や伝え方を理解することが重要だと感じています。社会の変化に伴い、（他人に干渉しない）自己本位な関わりが増えている中で、「人と人との関わりにおいて礼節をもって接すること」の大切さを多くの人に伝えたいと思い、マナー講師を志しました。

講師業とは、受講者が自ら気付き、納得し、自信を持ってマナーを実践できるようサポートすることです。礼節ある応対は相手だけでなく、自分自身にも良い影響を与えるものです。私は、受講者の皆さんが「マナーは自分にも役立つから、これからどんどん実践していこう」と思えるような気付きを与えることを大切にしています。一方的に教えるのではなく、受講者自身が考え、学び、行動に移せるよう導くことが、私にとっての講師の使命です。

研修では、受講者が相手に対する配慮を持ちながら、自分のマナーをどう表現すればよいかをしっかり考え、実践できるようサポートしています。私が目指すのは、受講者が「自分でもできる」と感じ、実際に行動に移し、その効果を実感できることです。受講者が自身の経験を通じて学び、それを周囲に広げていく。そんな研修を通じて、マナーの大切さと実践する喜びを伝えていきたいと思っています。